ポケットティッシュ
最近はめっきり減ってしまった街角のティッシュ配り。昔はいたる所で配っていたと記憶している。
そのお陰で我が家には常に大量のストックが常備されていた。だいたい同じような場所でティッシュ配りをしているため、ストックが少なくなった時はあえてこちらからもらいに行くぐらいの気持ちで歩くルートを決め確実にティッシュを確保していた。
日本では無料で手に入るティッシュだが、他の国で無料で配っているはずもないことはスペインに行く前から薄々気が付いていた。
そこでスペインへ行くときはティッシュをクッション材の変わりにスーツケースの四隅入れたり、隙間に埋めたりしてなるべく多くのティッシュを持ち込むようにしていた。
トイレにトイレットペーパーがないことも多いスペインではこのポケットティッシュは大いに役立つ。何度この日本のティッシュに救われたことか。
スペインでももちろんティッシュは存在する。
スペイン語では紙のハンカチ(PAÑUELOS DE PAPEL)と言うのだが、その名の通りハンカチの紙版だ。日本のポケットティッシュと比べるとはるかに分厚く丈夫だ。そのため、ティッシュに対する概念も違う。
日本のポケットティッシュは使い捨て。
一度使ったら捨てるものだと思うし、二回使うには強度が足りない。しかし、スペインのティッシュは強度がある為何度も使えるのだ。
ティッシュを何度も使う!というのは衝撃的だった。
気に入っていたスペイン人男子と出かけた時、鼻をかんだと思ったらそのティッシュをポケットにしまったのだ。
ゴミを持ち帰る環境に優しい配慮なのか?となるべくポジティブに考える。
しかし、またしても先程のティッシュを使い鼻をかんでいるのを目撃してしまう。
そしてまたポケットにしまう。
一体何度同じティッシュを使うのだろうか?百年の恋も冷めそうだ。
いやいや、きっとティッシュの残りがなくて仕方なく最後のティッシュを何度も使っているのだ。そーに違いない!と優しく考え
「日本のティッシュ持ってるよ。使ってみる?」とさりげなく差し出す。
「日本のティッシュ?使ってみたい!ありがとう!」と喜んだのもつかの間
「何これ?超薄くない?すぐ破れちゃうよ。日本のティッシュはダメだね」と大不評。「一回かんだら捨てるのよ!何度も使うなんて不衛生!」と対抗しても、それにしても薄すぎると一歩も引かない。第一使い捨てなんてもったいないではないか!と逆に反論される始末。
なんでもハンカチは鼻をかむものとして誕生したそうで、ヨーロッパでは今でもハンカチで鼻をかむ人がいる。そしてそのハンカチは一回一回洗わない。何度か、又は一日使ってから洗う。スペインのティッシュは「紙のハンカチ」と言うだけあって、用途もハンカチと同じ。さすがに洗って使いはしないが、一度で捨てるなんてこともしないのだ。
何度も使うから分厚く丈夫に作られるスペインの「紙ハンカチ」と、使い捨てを前提とした日本のポケットティッシュは似て非なるもの。
ついでなので触れておくが、「鼻をすする」行為はとても嫌われる。スペインに限らず多くの国でマナー違反とみなされる。しかし、「鼻をかむ」のはOK。スペイン人は結構大きな音をたてて堂々と鼻をかむ。
鼻をすするアジア人を見てしかめっ面しているスペイン人が大きな音をたて鼻をかみ、ティッシュを使いまわす。
私にはどっちもどっちに見えるが、ここで言い争っても仕方ない。
マナーも国によって変わるのだ。
慣れてくると分厚いスペインのティッシュもなかなか使い心地がいい。特に水のようにサラーっと流れ出てくるタイプの鼻水の時はおすすめ。鼻をかむというより流れ出た鼻水を押さえるような感覚でどうぞ。
風邪の治りかけの時の青っ洟の時は迷わず日本の使い捨てを!鼻水の種類によって変えれば毎回快適です。