スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

「ペーパー・ハウス・コリア 統一通貨を奪え」感想

私の大好きなスペインドラマ「ペーパー・ハウス」を韓国がリメイクした。

その名もそのまま「ペーパー・ハウス・コリア 統一通貨を奪え」

 

イカゲームに王座を奪われるまでNetflix史上最大のヒットと言われていたのがスペインが世界に誇るドラマ「ペーパー・ハウス」だ。

スペインが好きで「ペーパー・ハウス」も大好きで、そして今韓ドラにハマっている身としてこの「ペーパー・ハウス・コリア」を無視できるわけがない。

しかし、予告を見るまで正直全く期待していなかった。だって、あのドラマはスペインっぽい無秩序でスタイリッシュではない行き当たりばったりの個々が好き勝手にやりたい放題のくせに情に熱いザ・スペインだからこそ作れたドラマだと思っているからである。

いくら波に乗っている韓国でもこれをリメイクしようなんて調子に乗りすぎだ。と、思っていた。

 

しかし、予告を見て考えが変わった。

「南北統一後の朝鮮半島で使われる統一通貨、、、」

そうだ、韓国にはとっておきの隠し玉があるのだ。

今なお休戦中で同じ民族が北と南、独裁国家と資本主義に分かれる境界線を持つ特殊な国。

この唯一無二な状況を韓国ドラマではごく頻繁に巧みに利用する。利用するというと語弊があるかもしれないが、実際「北」が絡んだ大ヒット作品はとても多い。

 

こんな特殊な国において「南北統一」という起こりうる近未来を舞台に繰り広げられる統一通貨の強盗団と警察との攻防。それが「ペーパー・ハウス・コリア」なのだ。

世界中で6500万世帯が視聴したといわれ、熱狂的なファンも多いこの本家の「ペーパー・ハウス」をリメイクするにあたって唯一微かな勝算があるとすればそれは「南北統一」という他では真似できないオリジナルなエッセンスを加えたことではなだろうか?

 

さて、ここからやっと感想に入ろう。ネタバレは極力しないつもりだが、ぽろっと出ちゃうかもしれないのでまだ観ていない人は気を付けてください。また、私は本家の大ファンなので「ペーパー・ハウス・コリア」単体の感想というより本家との比較をベースにした感想となりますのであしからず。

 

現在配信されているのは1話から6話まで。後半部分は下半期までお預けだそうなので完結していないシーズンの途中での感想となるとちょっと難しい。

 

登場人物の名前はオリジナルと同じように各都市の名前を使っている。コリア版での「トウキョウ」の名前の付け方には賛否両論(日本では否しか見てないけど)あるようだが、私としては韓国が力を入れて作るドラマの主要人物に「トウキョウ」という名前を付けなくてはいけない韓国のジレンマの落としどころとして納得いくものであった。むしろさらっと一言で終わらせたことに感動すらしてしまった。

主要メンバーの名前はオリジナルと同じだが人物像は若干違う。まぁベースの国が違うのでここら辺は許容範囲。人物像の書き方が少々物足りないと感じるものの6話までしか観られないのでそれは仕方がないことなのかなと思う。

本家で人々の心をイライラざわつかせる人質の造幣局局長アルトゥーロはコリア版でも(名前は違う)健在!彼のキャラは国が変わってもちゃんと人々をイライラさせるのだ。

しかし、トウキョウには本家のような身勝手さがなく問題児感がないのが残念極まりない。その為トウキョウの存在感があまり出てこないのがもどかしい。後半はもっと暴れて欲しいなと心から思う。

コリア版で一番印象に残っているのはデンバー。本家のデンバーは憎めないけどアホっぽさが全面に出てくるが、コリア版のデンバーはアホっぽさがイケメンのせいで減少気味。あの独特な笑い方を意識して演じているようだが、なんせイケメンなのでどんな笑い方でも下品になりません。若干「小栗旬」に似ているので「まーきの!」とかって首を傾げてくれればもっとアホっぽさが出ていいのではないだろうか?

 

肝心のストーリーはと言うと、本家のシーズン1と2の「造幣局バージョン」をベースに作られているが、要所要所で若干ストーリーを変えてくるので本家を観ている人にはその変えたストーリーが本筋にどうやって戻ってくるのかがとても興味深く、最終的には「なるほど、そうきたか」と話の虜になってしまうのである。

半信半疑で見始めたくせに週末に6話一気に見てしまい、既に後半が待ち遠しくなっている。まさに制作者の思う壺だ。

 

本家のオリジナル「ペーパー・ハウス」を観た人にはぜひぜひ観てもらいたいし、観ていない人はコリア版を観てハマったら本家もぜひぜひ観て頂きたい!

 

結局のところ「ペーパー・ハウス」はオリジナル版もリメイク版も面白いってことだ!