スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

返品天国

日本とは違いスペインでの商品の返品は罪悪感を伴わない。

まず返品理由なんて聞かれない。大抵購入から一ヶ月以内であれば返品できるのだ。

同額の商品と交換か現金での返金、店によってはその店舗で使えるクーポン(vale)のような形態で発行される場合もある。驚いたことに本やCD、DVDも返品できたりする。本なんて速攻読んで他の本と交換したら一冊の値段で二冊読めるじゃない?と思う方もいるだろう。私もそう思う。そして実際に実践してしまうスペイン人もたまにいる。

よく聞く笑い話ではドレスのタグが付いたままパーティーなぞに来るつわものがいるとかいないとか。ずるがしこいやり方を知っているけど、そんな貧乏っぽいやり方なんて私はしないわ。という前提で成り立っている制度だと思う。

 

独特だなと思うのはもらったプレゼントを返品交換するという思考回路だ。

スペインには「プレゼントレシート」と言うものが存在し、プレゼントを買ったときに「プレゼントレシートをつけて」というと値段が記載されていないレシートを発行してくれる。このレシートをプレゼントに添えてあげるのだ。

もらった側はサイズやら色、形が気に入らなければ同額の自分の好きな商品と交換することが出来る。レシートに金額こそ記載されていないが、交換をしたら金額はもらう側に丸わかりなのだが、そこはみんな気にしない。あげる側も気に入らなかったら交換してねー。と気軽だし、もらう側も自分の趣味とは全然違う物をもらっても交換できるのでうれしい。両者にとってウィンウィンだそうだ。

 

クリスマスシーズンの後には大きい店では返品交換専門のレジを設けるところさえある。そこには罪悪感なんて微塵もなくみんなそれぞれ思い思いに自分の好きな商品と交換していく。

 

「交換前提なら商品券でいいじゃん!」と言ってみたところ

「商品券だなんてそっけない。もらったときの感動がない。薄っぺらい。」とみんなから大ブーイングだった。とはいえ、デパートの商品券は存在するし、実際プレゼントしている人もいるのだが、やっぱりみんなプレゼントという「物」を渡したいし、貰いたいんだそうだ。

 

そんな私も友だちへの出産祝いのプレゼントの時、この「プレゼントレシート」は本当に便利だと実感した。

会ったこともない赤ちゃんの体系なんてわからないし、各家庭の方針がどんなものかもわからない。子供がいない私には何をもらったらうれしいのか、迷惑なのかの想像が出来ない。そんな私でもプレゼントレシートさえ付ければいいのだから何を買っても安心だ。日本でも導入して欲しいシステムだと思う。