ヨーロッパ最南端のスキー場
スペインの南、アンダルシア州にあるグラナダにはシエラネバダ山脈というヨーロッパ最南端のスキー場を完備した山がある。
このスキー場には外国からの観光客がたくさん来る。
グラナダ一外国人率の高い場所だ。
せっかくなのでヨーロッパ最南端のスキー場で滑ろうと思いたち、友だちと繰り出した。
グラナダ市内からバスが出ていて、バスの出発地には一式レンタルできる店もあった。
私は日本でスノボー派だったので迷いなくスノボー一式を借りていざシエラネバダへ。
スペイン、しかも南のアンダルシアのスキー場ということで雪質を疑っていたが、アイスバーンというわけでもなく快適に滑れる雪質だった。
土地が広いのか、利用者が少ないのか、広々していてリフト待ちの時間も少ない。
二つ目のリフトだったか、三つ目だったかは忘れてしまったが、
「Tバーリフト」なるものに遭遇した。
日本ではあまり見かけないリフトの形態だ。(一度だけ見たことがあるのだが、どこのスキー場だったかは覚えていない)
この「Tバーリフト」は比較的海外のスキー場では多く設置しているらしいのだが、とても難しい。
だいたい、スキー客を前提に作られていると思われるのでスノボーで挑戦するのは至難の業。
ウィキさんの説明では
「スキーヤーやスノーボーダーはバーを脚の間に通して跨がる、または腰や背中にあてがうなどして、牽引されつつ雪面を滑り上がって移動する。」となっている。
地面から足が離れないでバーに引っ張ってもらう感じになるのだが、バーに座ろうなどと思ってはいけない。
バーが伸びるだけでこける羽目になる。
少々戸惑いながらも、意を決してリフトに挑戦した。
このリフトを使わないとずっと初心者向けのゲレンデにいる羽目になる。
順番が回ってきたのだが、バーに体重をかけすぎてあえなく失敗。
二度目はなんとか進みだしたのだが、まっすぐ進めず再び転びバーに引きずられる。
失敗するとリフト自体が停止するため、先に進んでいる人たちも止まりみんなに迷惑がかかる。
もう一度列に並びなおして挑戦しようとする私に
「君は初心者だな。この先は中級者以上だから君は上に行かない方がいいよ」と言ってくる。
Tバーリフトの初心者ではあるが、スノボー初心者ではない。
プライドが深く傷つくではないか。
「大丈夫でーす。私は中級以上の腕前だから上に行きまーす」と静止を振り切ると
「ふっ。リフトにも乗れないのに中級者だと?次失敗したらアウトね。」と最終通告。
皆が固唾を呑む中、三度目の挑戦に挑むことになった私。
生まれたての小鹿のように足をプルプルさせバランスを保つ。
要は力加減とバランスだ。
なんとかコツを掴み振り返ると、初めて娘の補助輪を取った時のお父さんのように手を広げて私を見守る係員。
「ありがとう。お父さん。一人で乗れたよ。」
最後まで地面に足が着いた状態で進むので気を抜くとバランスを崩し離脱することになってしまうので最後まで気が抜けない。
30メートル程進んだ時、Tバーがびよーんと伸びリフトが止まった。
危なく転倒するところだ。
何が起こったんだと後ろを振り返ってみると、乗り場で失敗して転んでいる人を発見。数秒前の私と同じ状況に陥っている。
「頑張ってもう一度挑戦してごらん」などと暖かく応援できる心の余裕のない私は
「どーか、私が上に行くまでの間に彼の番が回って来ませんよーに」と祈るばかりであった。
この記事を書くのにあたり、Tバーリフトを検索してみたらたくさんの人がこのリフトに悪戦苦闘していることがわかった。私だけじゃなくてよかった。
笑える映像を見つけたのでどーぞご覧ください。