青春のファミレス
ファミレスには学生時代とてもよくお世話になった。
授業をさぼって時間をつぶしたり、始発まで粘ったり、深夜のデニーズで安室奈美恵を発見したり(顔が超絶小さかった)
青春と言えばファミレス!ファミレスと言えば青春だ。
だらだらとした時間を過ごすのにこれ以上快適な空間を私は知らない。
日本のファミレスと同じようにスペインのファミレスも青春の香りがする。
マドリードでお気に入りだった店の一つにVipsがある。スペインの各地にあるファミレスのチェーン店だ。
ファミレスと共に青春を過ごした私にとってVipsはとても落ち着く憩いの場だった。
Vipsに居るとスペインにいることを忘れてしまう。ソファの座り心地や人との距離感。店員の対応も日本のファミレスと似ている気がする。ファミレスに国境はないのかも知れない。
Vipsのメニューで特に好きだったのはパンケーキだ。
パンケーキ3枚に大量の生クリームとシロップ。シロップはキャラメルかチョコを選ぶことができるのだが、瓶ごとテーブルに置いてくれるのでかけ放題だ!さらにこのパンケーキは、通常は3枚セットだが1枚単位で注文することができる優れものなので、3枚のパンケーキに罪悪感を抱く女子も1枚ならカロリーゼロ!と伊達ちゃんのような思考回路に陥りついつい頼んでしまうのだ。恐るべしVips戦略!
なによりVipsの生クリームが素晴らしい。きちんと甘く、それでいてギリギリもたれない所が素晴らしい。
生クリーム大好きな私が自信を持ってお勧めする生クリームだ。
スペインでは大抵のスーパーでスプレー缶の生クリームが売られている。シューっとするだけで生クリームが出てくる優れもの。私は食パンに生クリームをつけて食べるのが大好きなのだが、日本に帰国してからはなかなかそれが食べられなくて残念だ。
日本では生クリームと言えば泡立てるタイプが主流なので、泡立ててまで食べたいかと言われるとそうでもなく、かといってスプレー式の生クリームを通販で取り寄せる程の情熱は持ち合わせていないが、スペインから日本に来る友達に「スプレー缶の生クリーム」をお土産に頼むぐらいの情熱は残っている。日本でもコンビニとかで手軽にスプレー缶の生クリームが手に入るようになればいいのにと常々思っているのだが、あまり誰からも賛同されず寂しい限りだ。
Vipsに話を戻そう。もう一つのお気に入りメニューはバリエーション豊富なモーニングセットだ。なかなか豪華なモーニングセットでホテルの朝食のようでウキウキする。
モーニングと言っても12時半まで食べられるのも素晴らしい。私は朝マックのメニューが好きだが、10時半までという高いハードルをなかなかクリアーできず全く食べることができずに今に至る。その点Vipsは朝寝坊しても大丈夫。ボリュームがあるのでモーニングというよりはブランチという感じだ。
Vipsの凄い所はレストランだけではない。レストランに入るまでにちょっとしたお店があるのだが、商品セレクトがとても良いのだ。本や雑誌、CDやDVDがあったり、流行の面白グッズなども販売している。もちろんちょっとしたお菓子や食品、日用品なども取り揃えている。レストランとは完全に独立している為、レストランを利用しない人でも自由に入店できるのだ。
なので私はよく待ち合わせ場所としてVipsを利用していた。ここで待ち合わせをすれば相手が遅れてきても全く苦にならない。暑くも寒くもないし、店内は時間を潰せる商品で溢れているにもかかわらず見通しが良い為待ち合わせに最適だ。
変わった写真集を立ち読みしながら好きな人が来るのをドキドキしながら待っていたあの場所。スペインで迎えた第二の青春の思い出。
やっぱりファミレスは青春がよく似合う場所だ。