スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

17本のタバコ

あれは2007年にドイツへ旅行に行った時の事。

タバコを買って開けた時、何とも言えない違和感を覚えた。よくよく見てみると中が若干スカッとしているではないか。

あれ?今外側のフィルムを取って開けたばかりなのに、なぜ?

開けたそばから誰かに二三本抜き取られているようだ。スペインでもあるまいし、そんなバカな。

スペインならあり得るかもしれない。スペインだったら工場の人が二三本くすねました!てへっ。とか言われても信じてしまうかも知れない。

実際私は12個入りの卵パックを買ったのに開けたら11個しか入っていなかったことも経験している。

スペインならそれもありだ。が、ここはドイツ。真面目なドイツでそんなことが起こりえるだろうか?

 

冷静になって開けたばかりの箱に何本タバコが入っているか数えてみることにした。

タバコというのは大概1箱20本入りのはずだが、数えてみると17本しか入っていなかった。しかし良く見てみると驚くことにパッケージの側面には「17本入り」ときっちり記載されていたのだ。

ということは17本は正解なのだ。

抜き取られたわけでも間違えたわけでもなく、17本入りで正解。

 

しかし20本のタバコが丁度ぴったりに入る大きさの箱に17本しか入っていないのだから、スカスカに感じて当たり前である。20本用の箱を使いまわししているのがそもそもの問題なのではないだろうか?いや、そもそも17本なんかにしないで素直に値上げをすればいいだけの事なのではないのか?消費者の目をごまかすために料金据え置きで本数を減らすってせこい手法を選んだばかりに逆にすごい手間がかかる結果になっている。

 

それにしても料金据え置きで中身を少なくするズルい値上げのやり方は世界共通なのだろうか?子供の頃からから食べているポテトチップスも昔よりずいぶん中身がスカスカな気がする。しかし外見はなんら変わらないし、袋を開けたところで一見では量が減らされていることに気づかない。

実に姑息な手段である。

 

それに比べると、箱を開けたそばから明らかに3本少ないことがバレバレのこのタバコの場合、値上がりを隠す気なんてさらさらないように思えてならない。3本少ないことに気が付かない人なんているのだろうか?

 

値上げがバレていいのなら普通に値上げすればいいのに。

17本入りのタバコの箱を見つめながら「ドイツって面白い国だな」と思った出来事であった。

 

しかし、あの時なぜ私は17本入りのタバコの箱の写真を撮らなかったのだろうか。

悔やんでも悔やみきれない。

なぜなら17本入りのタバコはドイツでも一定の期間しか販売していなかったようで誰に聞いても知らなかった。

人に話すたびにうっすらと疑いの目を向けられるのが悔しくてネットで調べてみたのだが、なかなか情報が見つからない。このままでは私の妄想だと片付けられてしまいそうだ。いや、あれは夢だったのかも?と本人でさえあきらめかけた時、やっと一つの記事にたどり着いた。

記事の題名はズバリ「ドイツのタバコの本数が減ったり増えたりするワケ」

https://www.excite.co.jp/news/article/00091138183629/

 

この記事が書かれたのが2006年。私がドイツへ行ったのが2007年の5月なので時期的にも合っている。

この記事では19本入りになっているが、一年後に17本入りになっていたとしても不思議ではない。私以外にもタバコを買って開けてみたら「スカスカ」の状態に戸惑っていた人は存在していたようだ!

よかった。私は一人じゃない。私が体験したことが嘘ではないことが証明されたようで心からホッとした。