スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン。私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

カフェ・フローリアン/in ヴェネツィア

スペインが大好きな私だが、イタリアも好きな国の一つだ。イタリア料理ははずれがないし、イタリア語の独特なイントネーションは耳心地が良い。

なんといっても私はBSで放送している「小さな村の物語イタリア」の大ファンなのだ。

しかし、イタリアには一度しか行ったことがない。しかもその一度の旅行もヴェネツィアフィレンツェのみの小旅行だ。

いつかローマ、ナポリシチリアをめぐる南イタリア旅行に行きたいものだ。

 

ヴェネツィアフィレンツェ旅行へ行ったのはスペインで暮らしていた2007年の冬だ。友だちが日本へ帰国する前の思い出旅行でヴェネツィアに本拠地を置き、フィレンツェにも足を延ばすという4泊5日の旅だった。

 

ヴェネツィアは「ザ・観光地」だった。街というよりヴェネツィアランド。

車が入ってこられないので余計にそういう気になるのかもしれない。運河と橋とゴンドラが非日常感を高める。ただ散歩しているだけで絵になる街並みだ。

 

友だちがヴェネツィアで絶対に行きたいと言い張ったのが、

世界最古のカフェ・フローリアンであった。

なんと1720年創業だそうだ。とにかく由緒あるカフェらしい。

しかし、外観はまぁ普通。スペインでも見かけるタイプのカフェテリアだ。

イタリアに来て少し残念だと感じたことは、街並みがスペインに似ているため(スペインがイタリアに似ていると言った方がいいのか?) 初めて見る風景なのに既視感があり若干感動が薄れる点だ。

カフェ・フローリアンはサン・マルコ広場の一角にあるのだが、この有名なサン・マルコ広場を歩きながらマドリードのマジョール広場を思い出してしまう自分が悲しい。

 

本場のカフェラテとティラミスを堪能しようと意気揚々と店内へ入ってみると、パリっとした立派なウェーターさんが出迎えてくれた。1800年代からほぼ変わっていないという内装や装飾も相まって一気に優雅な気分になる。

しかし、渡されたメニューを開いたとたん私の心臓は一分間停止した。

たかがコーヒーなのにべらぼうに高いではないか!

コーヒーとティラミスで19€もするのだ!

当時のマドリードのコーヒー一杯の値段は1€から1.5€だった。ケーキだってせいぜい5€ぐらいだ。

スペインの物価が染みついてしまっている身にケーキセット19€は痛い。

しかし、ここまで来て後には引けないので19€に動揺したことは封印してにっこり優雅にコーヒーとティラミスをオーダーする。

日本にいた頃は2000円のケーキセットだって動揺せずに注文できていたはずなのに、スペインで暮らしているうちに私の金銭感覚はずいぶん変化してしまっていたようだ。 恐るべし私の適応能力。

 

残念ながら19€もしたコーヒーとティラミスの味はまったく覚えていない。

まずかったら記憶に残るはずなので記憶にないということは可もなく不可もなくの味だったのだろう。

 

味はまったく覚えていないのだが、トイレは覚えている。

カフェのトイレは二階にあった。掃除の行き届いたきれいなトイレだったのだが、トイレ係のおばちゃんがいてチップを請求されたのだ!!!!

ケーキセットに19€も払わせておいてそれはないぜ・・・

まさかカフェテリア内のトイレでチップが必要だとは思いもしなかった。

イタリアに来てびっくりしたことは有料のトイレが多いことだ。スペインでは基本無料。お金を払ってトイレに行く感覚が備わっていないため、もちろんこの時も私は手ぶらでトイレに行ってしまったのだ。

トイレの入り口でチップを払わなければいけないバージョンなら席に戻ってお金を用意できたのだが、私がトイレに入った時には誰もいなかったのだ。

それなのに、用を済ませて手を洗っている所におばちゃんが現れたのである。

「お金を持ってきてないんだけど・・・」と訴えると不機嫌そうなおばちゃんは「しょうがないわね・・・行っていいわよ」としぶしぶ許してくれた。 

グラッツェグラッツェミーレ!!!

おばちゃんのお陰でカフェ・フローリアンの思い出が「19€」だけではなくなってよかった。

おばちゃんのお陰で外国でトイレに行くときは念の為小銭を用意するべきということも学べたし、本当にグラッツェグラッツェミーレだ!!!

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噂のティラミスとコーヒー