スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

バスク

スペイン滞在中、一度だけバスク地方ビルバオに遊びにいった事がある。

有名なグッゲンハイム美術館に行き、サッカースタジアムを見学し、美味しい料理を堪能した。

バスク地方ではバスク語公用語として使われているのだが、外から来た人にバスク語を強要するようなことはないようで普通にスペイン語を話してくれたし、丁寧で優しい対応をしてくれた。

短い旅行だったが今でも良い印象だけが残っている。

 

スペインに住んでいる時は全く縁のなかったバスクだが、日本に帰国してからやたらと縁ができていった。

知り合いがバスクの人と関わりがある為、日本へ観光に来るバスク人たちを案内することが増えたのだ。

知り合ったバスク人は、それはそれは皆そろいもそろっていい人たちばかりであった。

 

バスク語はとても不思議な言語でスペイン語と似ても似つかない。

ポルトガル語やイタリア語はスペイン語が出来ればなんとなく理解できることが多いが、バスク語は全く分からない。

マドリードの友だちはバスク語は宇宙語だと言っていたぐらいだ。

 

宇宙語を操るだけあって、スペインにおけるバスクの立ち位置は独特だと思う。

なんとなく漂う「別枠」感がある。

比べることすらしない。ライバルでもない。独特な場所。

私はマドリードとアンダルシア地方でしか暮らしたことがないので他の地域の人がどう思っているのかは分からないが、マドリードとアンダルシアからするとバスク地方はそれはもう別世界。

大抵のスペイン人は地元以外の地域にライバル意識があり闘志もりもり。

常に「おらが村が一番」と言い合い相手をディスる

マドリードの人はよくカタルーニャディスるし、マドリード以外の人たちはマドリードディスる

が、バスクはこの土俵になかなか上がってこないのだ。

いや、ディスることはディスるのだ。バスクをディスらないわけではなく、ディスることもあるのだが、それはどちらかと言うと知らない何か、又は遠い何かをディスっているのであって、近所をディスるのとは若干趣が変わる。

 

ビルバオには「アスレティック・ビルバオ」と言うとても有名な強豪名門サッカークラブが存在する。

このクラブチームの最大の特徴は「バスク純血主義」を貫いていること。

バスク人のみで編成されているバスク人によるバスク人のための唯一無二のクラブチームなのだ!

しかしバスク人だけしか入れない超地元密着型のチームなのにアスレティック・ビルバオはスペイン全土で人気が高い。人気が高いと言うより、嫌われていないと言った方が正しいかもしれない。

他のチームをけちょんけちょんにディスる国民性にも関わらず、アスレティック・ビルバオだけは一目置かれている。クラブの信念はリスペクトに値するらしい。金に物を言わせてスター選手を集めるのではなく、地元民を育て地元密着型と言うのがスペイン人受けする所以なのだと思う。

 

大好きなスペイン映画の一つに「Ocho apellidos vascos」がある。

セビージャ男がバスク娘に恋に落ちてバスクに追いかけてくるというラブコメディ映画だ。

2014年に公開されスペインで大ヒットした。 

ヒットの要因は間違いなくスペイン人が大好きな地域別ステレオタイプを面白おかしくディスっている映画だからだろう。アンダルシアいじり、バスクいじりが面白い。

残念ながらNetflixでは翌年に制作された続編の「Ocho apellidos catalanes」しか見ることができない。

続編ではアンダルシア、バスクだけではなくカタランいじりが凄まじい。あれだけいじって怒られないのかな?と若干心配だ。大ヒットして悪ノリしてしまったのだろうか?まぁブラックユーモアが大好きな国民なので悪ノリもご愛嬌なのかな?

 

「Ocho apellidos vascos」

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続編「Ocho apellidos catalanes」

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