スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

長い交際期間

ある日会社で雑談中に「この前別れた彼氏と連絡を取っているのか?」と聞かれたので

「連絡一切してないし、取るつもりもない」と答えると「へぇ~」と少々驚いた顔をされた。

「じゃぁ、逆に聞くけど、あなたは元彼と連絡取ったりしているの?」と聞いてみると

「元彼なんていないもの。初めて付き合った人が今の旦那」と笑顔で返された。

 

「元彼が存在しない」

「最初の彼氏が今の旦那」

 

日本で最初の彼氏と結婚した知り合いを一人も持たない私にとって、この回答はかなりの衝撃だった!

私がマドリードで働いていた会社は10代後半から60代までの各年代のスペイン人女性がいたが、既婚者の大体が10代で知り合った人と結婚していた。

なかなかな確率である。

大抵学生時代に知り合い(大体近所)10年ほど交際して結婚する。

10年の交際期間なんて普通らしい。

24歳の同僚は14歳の時から付き合っている彼との間に子供が生まれ一緒に暮らしているものの結婚はせず事実婚をしている。(その後二人目が生まれた後、交際15年で正式に結婚した)

「元彼なんていないもの」と言っていた同僚は付き合い始めたのは16歳だが、小学校から知っている人と結婚している。

 

10代での恋愛が人生を決める重大なターニングポイントになっているとは驚きである。

十代後半ならともかく、中学生や小学生で好きになった子と添い遂げるなんて!

奇跡だ。

小学生なんてまだ洟垂れ小僧ではないか。

そんな洟垂れ小僧に人生託せなかった私は今尚、誰にも人生を託せず独りでいる。

そーいえば、私の大好きなBSの番組「小さな村の物語 イタリア」でも幼馴染と結婚した老夫婦がよく登場する。

あちらでは私が奇跡だと思っていることが日常のことなんだとしみじみ考えてしまう。

 

13歳の息子を持つ40代の同僚が「最近息子とやたらと一緒にいる同級生の女の子が将来嫁になったらどうしよう」と悩んでいた。

「うちの息子は大人しくて優しいから、あの子にぐいぐい引っ張られて押され、そのままずるずる交際して結婚しそうで怖い」と言っていたが、十分ありえる話だ。

他人の私でさえ息子の将来が簡単に想像つく。狙った獲物は逃がさないたくましいスペイン人女性に一度目をつけられてしまったら、そう簡単には逃れられない。

しかも一度付き合いだすと長いので、出来るなら未然に防ぎたいのだろう。

息子13歳にして将来の嫁の心配をしなくてはいけないなんて、母も色々大変だ。

 

「一度付き合いだすと長い」とはどういうことかというと、なかなか別れないからである。

私の見解では、別れにおける沸点が異常に高いのだ。

日本だったら(私の過去を参考にすると)「これ別れてますけどレベル」の問題にぶち当たっても別れない。

ケンカと別れは別問題らしい。

ケンカの解決策が別れではないということをスペインに来て初めて知った。

しかも、付き合いだすと両家を巻き込んでの関係になるため、たかがケンカぐらいで別れたりできない。彼のお母さんから電話が来たり、お姉さんから電話が来たりとなかなか面倒なことになるのである。

家族ぐるみ。そう、まさしくこれが別れのハードルを上げている最大の原因なのだ。

 

しかし、こんなことを言っても、スペインにおける離婚率は実は意外と高い。

2017年の統計だと100組のうち57組が離婚しているらしい!

どこの統計かは知らないが驚愕の数字である。

これでは別れのハードルが高いんだか低いんだかわからない。

興味深いのが、若いときから10年以上付き合って結婚し、子供が出来てすぐ離婚するパターン。

意外とよく聞くパターンだが、なぜこのタイミングで???といつも不思議に思う。

 

結婚する前は別れないのに、結婚すると離婚する。

 

まぁ、当事者にしか分からないことがたくさんあるのだろうし、それぞれ事情があるのだろう。

地域や世代によって状況は変わる。

私が見聞きしたことが全てではないだろうが、平均的に交際期間が長いのは事実だ。

 

それが良いのか、悪いのか?それはまた人それぞれ…