スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

コーラ

私はスペインで飲むコカ・コーラが大好きだ。

日本で飲むより2倍おいしく感じる。

こう言うと皆一様に「そお?」と首をかしげる

 

悔しいので、おいしい理由を色々考えてみた。

 

まず、瓶。瓶のコーラは缶の数倍うまい。(一番まずいのはペットボトル)

スペインのバルやレストランでは嬉しいことに瓶コーラが出てくる確率が高い。

コーラを頼むと氷入りのコップと瓶コーラが来る。

そして、コップの大きさも素晴らしい。

コーラを注ぐとピッタリぎりぎりの所で収まるちょうどよい大きさになっているのだ。

 

そして、コーラがおいしいと感じる最大の要因がスペインの気候だと思う。

スペインの青空の下、テラス席で飲むコーラのおいしいことと言ったら。

ちょうどいい炭酸でのど越しがいい。

一気に半分飲んで空を見上げると「幸せだなぁ」と感じる。

銭湯の後で瓶の牛乳を飲み干して「あ~っ」と目を細めるおっさんと同じだ。

 

スペインでコーラを飲んでいる時の幸せの記憶が味と結びつき、

多少美化してしまっている部分もあるが、スペイン人の友だちもスペインで飲むコーラが一番おいしいと言っていたので私だけがおかしいわけではないのだ。

 

その友達曰く、マドリードの南のfuenlabradaにコカ・コーラ工場があり、

そこで作っているからおいしいのだ!とのことだ。

水もスペインの水を使っているから日本のコーラと味が違うのは当たり前だと言っていた。

 

本当かどうかはさておき、コーラ人気が高いのは事実である。

清涼飲料水のバリエーションが少ないくせに、コーラの種類は豊富なのも興味深い。

ノーマルコーラの他に、ゼロ、ライトがあるが、スーパーだけではなくバルでも取り扱っている。

その為コーラを頼むときに「ノーマル?」と聞かれることがあるのはこの為だ。

 

お酒とコーラを組み合わせることも多く、ラム酒と割った「Ron con Coca-cola」は定番だし、さらには赤ワインと割った「calimocho」もスペインではよく飲まれる。

 

「calimocho」は安く作れるので特に若者のボテジョン(路上、公園など店に入らず外で飲む飲み会)には欠かせないお酒だ。

しかし、残念ながら私はこのcalimochoが好きではない。

若くもないのに若者に混ざって公園でボテジョンをし、飲んで吐いた思い出がある。

安ワインとコーラ、寒い真夜中の公園。

「お金を払うから、暖かい場所で座っておいしい酒を飲ませてくれ!」

と願い続けた夜の思い出。

味覚と記憶が直結し、それ以来匂いを嗅ぐだけで嫌な記憶が蘇るのだ。

 

因みに、コーラではなく、赤ワインにレモンソーダ―または炭酸水を入れて飲む

「tinto de verano」というお酒は飲みやすくとてもおいしい。

ビールにレモンソーダ―を入れて飲む「Cerveza con limon」または 「clara」も人気があっておいしい。

コーラ好きとはいっても、さすがにビールにはコーラは入れないらしい。

 

一度語学学校でのパーティで「コーラ・フロート」を作ってお披露目したことがある。

アイスもコーラもあるのにみんなコーラ・フロートを食べたことがないと言う。

「確かにアイスも好きだしコーラも好きだけど、一緒にするのはいかがなものか?」

と半信半疑な先生を説得し、

「絶対においしいから食べてみて!」とコーラにアイスを入れたとたん、

予想以上の泡が発生した。

そしてコップからみるみる泡が吹きこぼれてゆく。

スペイン人の先生は急激に溢れ出す泡に仰天し

「なにこれ?気持ち悪い~」と言い出す始末。

楽しい試食会は突然、科学実験場と化し人々はパニックに陥ってしまった。

そして泡まみれのコーラ・フロートの感想は「ただただ甘い泡」と散々な結果となってしまったのだ。

 

なんでもコーラ・フロートを作る時のコツは氷をたくさん入れることにあるらしい。

氷を入れることで泡が異常に発生するのが防げるのだ。

 

そんなコツなど知る由もない私は、ただただ大量の泡を発生させ、

「コーラにアイスを入れると泡が噴き出す」という実験結果だけが皆の記憶に残ることになってしまった。

 

ごめんよ「コーラ・フロート」

スペインでコーラ・フロートが出回らないのは私のせいなのかもしれない。