スペインに惚れました

10年暮らした愛しのスペイン。私の独断と偏見に満ちた西方見聞録

映画館

スペインには映画館がたくさんある。

映画はスペイン人にとって共通娯楽と位置付けられているので、どの地域にいってもそれなりの数の映画館があるのだが、たいていはスペイン語吹替で上映される。

字幕を読めない人のために吹替が発達したらしく昔からスペインの吹替の質は高いのだが、やっぱり私はオリジナルの声が聴きたい。

 

マドリードではオリジナル音声+スペイン語字幕で上映する映画館が増えてきた。

ただ人気があるのはやっぱり吹替版だ。字幕を読むのが面倒だし、もう小さなころからずっと吹替なので字幕で見る習慣がない。

完全な偏見だが、オリジナル上映を見るスペイン人に対し

「気取っている」「おしゃれぶってる」「英語が得意と自慢している」

などと毛嫌いする人なんかもいる。確かに、オリジナル上映に来るスペイン人は海外経験が豊富な人やちょっとかぶれているおしゃれ気取りさんが多いのは事実なのであながち偏見でもないのだけど。。。。

 

日本映画の「たそがれ清兵衛」をオリジナル音声+スペイン語字幕で見たときに

武士が門の前で「たのもう~」と言っているシーンのスペイン語字幕が

「Hola」だった。

笑うシーンでもないのに一人で大爆笑。

そんなカジュアルなあいさつ、武士がするかっ!

 

硫黄島からの手紙」を見た後は号泣しすぎて顔がボロボロだったのでトイレに行ったら、スペイン人のご婦人に「あなたの同郷の人かわいそうだったわねぇ」と慰められた。

 

近年日本ではやり始めた「応援上演」。

グーグルさんの説明では「応援上映(おうえんじょうえい)は、映画上映中に観客が大声を出すことが認められた特別上映回。 同様のものにチアリング上映、発声型上映、絶叫上映、声出し上映など。 映画上映中に観客の声援、コスプレ、アフレコなどが許される新しい映画鑑賞スタイルであり、映画館では静かに映画を鑑賞するという従来の概念を覆すものである。」

とあるが、この定義で考えるとスペインは昔からずっとすべての映画館で「応援上映」だったということになる。

上映中笑うところでは皆大声で笑うし、スカッとするシーンで拍手が起こったりする。夏によく開催される野外上映なんかは子供たちが「危ない!」とか「行け―」とか言って大騒ぎになる。

私は映画でよく泣くし、面白いシーンでは笑うし、びっくりするシーンでは声を上げてびっくりしてしまうので日本では大抵ハンカチで口を押えて声を殺して映画を見る。

昔日本でジュラシックパークを見に行った時はあまりにびっくりする場面だらけで口を押えても全身でびっくりし椅子から落ちそうになった。

私の情緒不安定さにうんざりした隣の席の小学男子が冷ややかな目で「うるさい」と文句を言ってきたので、中盤からは窒息しそうなほど口を押え、画面と隣の子にびくびくしながらなんとか乗り切った。

お金を払って苦行である。

だいたい息を殺して黙って映画を見るなんて楽しくもなんともない。私にはスペインの映画鑑賞スタイルの方が自然でリラックスできて楽しい。

 

スペインの映画館ではポップコーンや飲み物が売っている。

ポップコーンはいつからあんなに世界共通の映画のお供に成り上がったのだろうか? そして何故あんなに大きいバケツにいっぱいに入っているのだろう?

ポップコーンとコーラ―は日本でもスペインでも売っているが、スペインではパンフレットが売っていない。

私はその昔映画のパンフレットを買って集めていた。

私にとってはポップコーンよりパンフレットだったのである。思い出にも残るし、映画の情報をしっかり押さえられる。解説などもありたくさんのうんちくを吸収できるからだ。

でもスペインの映画館では映画のパンフレットがないのでうんちくがまるで吸収できない。

そういえば、日本にはCDにも解説とかが付いた日本版特典みたいなものがあったが、スペインではまったく見当たらない。

日本人がうんちく好きなだけなのだろうか?他の国がどうなっているのか是非知りたいところだ。